2018年度「S-feh」部門優勝者 水本 枝里

INTERVIEW WITH S-feh WINNER IN 2018

2018年度「S-feh」部門優勝者 水本 枝里

自分たちで作っているものがトレンド
いつもギリギリのラインに挑戦

テーマを決めるにあたって、どのようにトップヘアーらしさを出していくのかというのを、みんなでディスカッションします。そして、みんなで色々抜粋して決めていくので、まずテーマ決めの時点でかなりの時間を要します。
トレンドの原点はどこにあるのかというのがあり、民族というものがファッションやヘアの原点なのではないかという結論に達しました。民族のファッション、民族のヘアはテーマ性があって分かりやすいですし、私たちのデザインのルーツという意味で「ネオカルチャー」というテーマにしました。

ずっとヘアショーをやらせていただいていて、もちろん分かりやすさも必要だなと感じています。新しさの中に伝わりやすさがあることで、今回のテーマが民族ということがパッと見てすぐに分かります。
ヘアでいうと「産毛」にこだわっています。産毛の処理をどうするのかを考え、どのような民族的な雰囲気がそのモデルさんに合うのかを逐一デザインしたので、髪の毛一本一本にもこだわりました。

メイクではテーマに「チベット」を入れ、そこのチークの入れ方を取り入れています。チベットは寒い地域で、寒いと赤くなるので、少し暖色系の色を入れたり、そういった細かいところまですごくこだわってやっていたのが、伝わったのかなと思います。

産毛での表現は、一歩間違えるとださくなってしまいます。例えばダウンスタイルのカットは、いつもやっていることなので、似合わせることができますが、今回新しいことを前髪で表現するのに、毛糸を使っています。毛糸で作った前髪を、髪の毛に見えるように作って、そのモコモコ感で民族的な雰囲気を演出しました。こういった新しいことへの挑戦はうまくハマるとかっこいいですが、外すとすべてださくなってしまいます。その境目のいつもぎりぎりのラインを通るので、かなり難しかったです。

INTERVIEW  WITH S-feh WINNER IN 2018

基礎的なものがあって、
基本がきちんとできていること

ヘアショーは団結力が増します。普段から団結はしているつもりですが、やはり毎日一つのことに向かってみんなが突き進むという部分がテーマであって、ああでもない、こうでもないとディスカッションできる部分や、ヘアショーを通じてすごく勉強できることがたくさんあります。ここは違う、ここは良いという、色々な人の意見も取り入れながら、ではここはこうしようといった似合わせがサロンワークに繋がっています。メイクもそうで、一つのものを作るということに対して、ファッションからメイク、ヘアデザイン、全てがその人への似合わせとなっていきます。

ヘアショーもそうですが、クリエイティブの原点はやはり基礎だと思います。どういったものでもそうですが、まずテーマや女性像があって、その人に似合うものが軸にあってのクリエイティブだと思っているので、そのテーマがぶれるとごちゃごちゃになってしまいます。自由に何かやればいいというわけではないので、テーマを決めて、基礎的なものがあって、基本ができているものがクリエイティブになり得るのだと思っています。

それから自分の自由なイメージも大切だと思います。真似が多いので、真似ではなく新しいもの、自分が打ち出すものが、クリエイティブだと思います。ですから自分たちで作っているものがトレンドだと言えます。

東京から降りてくるものや、布や生地からくるものがトレンドである一方で、ファッションショーやVOGUEなど様々な雑誌見て、「今年はこうかな」というのが、一般的なトレンドかなとも思いますが、「自分たちで決めて、それを打ち出すことこそがトレンド」というのは、いつも思っています。それは真似ではなくて、新しいものを作っていくことにおける原点だと信じています。

今後の目標

私はトップヘアーで美容師を一生続けていきたいと思っています。会社の思いを形にできるよう挑戦し続けて、教えていただいたことを思いで返していけるよう、その気持ちを忘れずに取り組んでいきたいです。

トップヘアーの魅力は、美容師として人として、売り上げももちろんそうですが、会社が私のために育ててくださっているのが分かるところです。技術も環境も整っていますし、人間関係においても人と関わる上で、こんなふうに考えたほうがもっと相手がよくなるなど、日々教えていただいています。普段生活をしていて、自分の欠点を指摘してもらえることってあまりないと思うのですが、私のことを考えて、細かく的確に言ってくれているのをすごく感じます。

アシスタントから自分の位が変わっても、キャリアに合わせてのアドバイスをいただいています。悔しいと思うこともありますが、そういうところも含めて、気持ちをくんでくださる部分と、そうじゃないよと言ってくださる部分との両面があります。そんな上司の姿を見ているので、自分も後輩に、返してあげたいと自然に思えるようになりました。それが会社愛に自然と繋がっているのだと思います。

INTERVIEW  WITH S-feh WINNER IN 2018

S-fehの学生チームにアドバイス

学生さんのヘアショーはチームワークがあり、新しいものに挑戦していたりするので、見ていてすごいなと思うことがあります。

ヘアショーは会社の色を出さないといけないのですが、学生さんは見たことのないものをやることができる自由さがあると思うので、新しいものを作った方がいいのではないかなと思います。型にはまらないもの、見たことのないものに挑戦してほしいですね。